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電子納品の基礎からレイヤ標準・SXF仕様まで|AutoCAD土木コースで学べる実務スキル

電子納品の基礎からレイヤ標準・SXF仕様まで|AutoCAD土木コースで学べる実務スキル

目次

1.電子納品の基礎

電子納品とは、紙の図面や書類ではなく、デジタルデータとして成果品を納品することを指します。国土交通省をはじめとする公共工事では、「電子納品要領」が定められており、CAD図面や写真、帳票などを所定の形式で提出する必要があります。
目的は、作業効率の向上、データの長期保存、情報共有の迅速化です。納品データの形式にはPDFやSXF、DWG、写真のJPEGなどが一般的に利用されます。

以下は、SXF形式のデータとDXF形式のデータの同一図面を変換して比較した画像です。

(1)SXF形式のデータAUTODESK CALS TOOLS 2026 ※

(2)DXF形式のデータ(AutoCAD 2025)

※Autodesk CALS Tools 2026とは?

Autodesk CALS Tools 2026は、AutoCADやCivil 3DなどのCADソフト上で動作する公式アプリケーションで、電子納品に必要な処理を手軽かつ正確に行えるよう設計されています。次のような機能が特徴です:

  • SXF読み込み/書き出し(.sfc, .p21形式対応)
    → DWG/DXFから最新のCAD製図基準(H29.03)に適合した電子納品データを生成可能です。
  • DWG/DXF ↔ SXF 相互変換(圧縮形式:.sfz, .p2zにも対応)
    → データ形式の柔軟な変換が実現し、公開や共有の手間も削減できます。
  • J-LandXML書き出し(Civil 3D対応)
    → 土木構造物の位置や属性データを、国土交通省仕様のJ-LandXML形式に変換可能です。
  • Jw_cadデータ読み込みにも対応し、互換性の幅が広いツールです。
  • レイヤ振り分け機能で、自動・半自動・手動によるCAD製図基準に沿ったレイヤ分類が可能です

CALS Toolsは、2026版を最後に年別のアップデート提供を終了し、半永久的なバージョン固定へ移行する予定です。つまり、設定や操作の安定性が期待できます。

2.レイヤ標準の基礎

電子納品で使用されるCAD図面には、レイヤ標準と呼ばれるルールがあります。これは、図面内の要素(道路、河川、構造物、注記など)をあらかじめ決められたレイヤ名で分類する仕組みです。
例えば、国土交通省CALS/ECのレイヤ命名ルールでは、「構造物」「道路」「文字」などの種別や用途がレイヤ名に組み込まれています。
適切なレイヤ分けを行うことで、他のCADソフトでもデータを開きやすくなり、後工程での修正や流用がスムーズになります。

(1)SXF レイヤ名と内容(一例)

(2)構造

SXFレイヤ名は複数の項目をアンダースコア(_)で区切って構成します。基本的には以下の順番です。

[図面種別] [部位][表現内容] [属性]

  • BRIDGE:構造物種別(橋梁)
  • PIER:部位(橋脚)
  • OUTLINE:表現内容(外形線)
  • MAIN:属性(主要部分)

(3)主な要素の意味

図面種別
土木・建築・設備などの分野や構造物種類を示します。例:ROAD(道路)、RIVER(河川)、BRIDGE(橋梁)など。

部位
構造物や図面内の具体的な部位を表します。例:PIER(橋脚)、BEAM(桁)、PAVEMENT(舗装)、PIPE(配管)など。

表現内容
そのレイヤに収められている線や形の種類。例:OUTLINE(外形)、HATCH(ハッチング)、DIMENSION(寸法)など。

属性
材質・役割・状態などの詳細属性。例:MAIN(主要)、AUX(補助)、TEMP(仮設)など。

(4)利用目的

図面の統一性確保
発注者、受注者、下請け、役所など複数の関係者が同じルールでレイヤ名を扱える。

電子納品時の自動チェック
電子納品チェックツールは、この命名ルールを参照してレイヤ構成を検証します。

将来的なデータ活用
BIM/CIMやGIS連携において、属性情報として活用可能。

3.SXF仕様とは

SXF(Scadecable Vector Graphics for eXchange Format)仕様は、CAD間で図面データを正確に交換するためのファイルフォーマット仕様です。公共工事の電子納品では、CADネイティブ形式(DWGやJWW)ではなく、このSXF形式での納品が求められる場合があります。
SXFにはVer.2とVer.3があり、バージョンによって扱える要素や表現方法が異なります。
例えば、線種や文字サイズ、レイヤ名などを正しく変換するためには、CADソフト側でSXF変換設定を正しく行う必要があります。

SXF形式の違い|P21形式とSFC形式の基礎知識【電子納品対応】

電子納品やCADデータ交換で使用される「SXF形式」には、大きく分けてP21形式(.p21)SFC形式(.sfc / .sfd)の2種類があります。
ここでは、それぞれの特徴と違いをわかりやすく一覧表にします。

項目P21形式SFC形式
仕様SXF Ver.3SXF Ver.2
拡張子.p21.sfc / .sfd
データ構造テキスト(ISO 10303-21)バイナリ
属性保持力高い中程度
容量やや大きい小さい
互換性新しいCAD向け古いCAD向け

どちらを使えばいい?

  • 最新の電子納品や他CADとの正確なデータ交換が必要な場合 → P21形式
  • 容量を抑えたい、または古いCAD環境とやり取りする場合 → SFC形式

P21形式とSFC形式は、互換性とデータ保持力のバランスで使い分けることが大切です。
電子納品基準や相手先のCAD環境を確認し、適切な形式を選びましょう。

◆ SXF仕様(文字)

◆ SXF仕様(線の太さ)

◆ SXF仕様(線種)

◆ SXF仕様(色)

SXFの色選択

◆ SXF仕様(寸法)

4.AutoCAD土木コースで学べる内容

CDIキャリアスクールのAutoCAD土木コースでは、電子納品に必要なレイヤ標準やSXF変換を、実際のAutoCAD操作を通じて学びます。
・電子納品要領に沿った図面作成
・レイヤ標準に基づくレイヤ設定と管理
・SXF形式への変換とチェック方法
・納品前の検証ポイント
これらを習得することで、公共工事のCAD業務に即戦力として対応できるようになります。

<実践で学びたい方へ>

電子納品は、公共工事のCAD業務において欠かせないプロセスです。レイヤ標準やSXF仕様を正しく理解し、CAD操作に反映できるスキルは、業務効率と品質を大きく向上させます。
実務で通用するスキルを身につけたい方は、ぜひAutoCAD土木コースをご受講ください。
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