目次
測量座標の基礎
土木CADで図面を作成する際に必要となるのが測量座標です。測量座標は、地球上の位置を正確に表すための数値で、緯度・経度や平面直角座標系などが使われます。図面の精度や位置合わせに大きく影響するため、まずは基礎を理解しましょう。
Ⅰ. 測量座標とは
1.座標の基本概念(X座標・Y座標・Z座標)
測量座標は、図面や地図上の位置を数値で表すための「住所」のようなものです。
- X座標 … 東西方向の位置
- Y座標 … 南北方向の位置
- Z座標 … 高さ(標高)
これらを組み合わせることで、地球上の任意の点を正確に指定できます。

2.測量座標と一般的な座標の違い
学校の数学で習う座標は、小さな範囲での相対的な位置を表します。
一方、測量座標は地球規模での位置を扱うため、測地系(地球の形を近似したモデル)に基づいて計算されます。
3.世界測地系(JGD2011)と旧日本測地系の違い
- 世界測地系(JGD2011):GPSや国際標準と一致。現在の公共測量はこれが主流。
- 旧日本測地系:昔の地図や図面で使われていた方式。位置が数百メートルずれることがあります。
Ⅱ. 測量座標の種類
1.平面直角座標系
日本を19の区域に分け、それぞれに原点を設定した座標系。土木工事や都市計画でよく使われます。

(出典:国土地理院)
2.緯度・経度座標系
地球全体を対象にした座標系。GPS機器が出力する座標は通常こちらです。

(出典:国土地理院)
- 緯度(Latitude)…地球の赤道を基準に、北(+)または南(–)方向の角度(–90°~+90°)を示しています。
- 経度(Longitude)…本初子午線(Greenwich 0°)※を基準に、東(+)または西(–)方向の角度(–180°~+180°)を示しています。
※本初子午線(ほんしょしごせん)とは、経度0度として定められた基準の子午線(南北を結ぶ大円)です。地球の位置を表す経度の起点となります。国際的な基準はイギリス・ロンドン郊外のグリニッジ天文台を通る子午線です。
3.ローカル座標系(任意原点)
現場ごとに決めた原点を基準にする座標系。小規模工事や仮設計画で便利です。
Ⅲ. 測量座標の取得方法
・GNSS(GPS)による取得
GNSS受信機を使って衛星から直接位置情報を取得します。高精度な機器なら誤差は数センチ以内です。
・基準点測量の利用
国土地理院が設置した基準点を測り、その位置をもとに座標を求めます。
・公共測量データの活用方法
国土地理院や自治体が公開する基盤地図情報をダウンロードし、CADに取り込んで使います。
Ⅳ. 測量座標の活用例
1.土木CADでの図面作成
道路、橋、河川などの設計図は、測量座標を基準にして正しい位置に描きます。
2.測量データから平面図を作成する流れ
- 測量機器で座標データを取得
- CADにインポート
- 図面上に点や線を配置
- 図形を仕上げて印刷
3.施工管理や出来形管理での利用
施工中や完成後の構造物の位置を測定し、設計図と比較することで品質を確認します。
Ⅴ. 測量座標を扱う際の注意点
1.座標系の統一
異なる測地系や区域のデータを混ぜると、位置が大きくずれます。
2.単位(m・mm)の扱い
CADによっては単位設定が異なるため、読み込み時に確認が必要です。
3.精度と誤差の許容範囲
設計段階と施工段階では、求められる精度が異なります。用途に応じた精度管理が大切です。
Ⅵ. まとめ
1.測量座標を理解するメリット
- 図面と現地の位置が一致
- 他社や他部門とのデータ共有がスムーズ
- 公共工事や大規模プロジェクトで必須スキル
2.学び方と次のステップ
まずは座標の概念を押さえ、簡単な位置決めから始めましょう。
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