目次
土木図面を「読める」ようになろう!
平面図・縦断図・横断図・構造図の 見方と読み方を、初心者向けにわかりやすく解説します。
土木図面には、道路や土地の形状、 高さ、勾配、構造物の寸法など、 工事や設計に必要なさまざまな情報が描かれています。
しかし、図面を初めて見る方にとっては、 線や数字、記号が何を表しているのか、 なかなかわからないものです。
このページでは、CADソフトを操作する前に 知っておきたい土木図面の基本を、 実際の図面を交えながら学びます。
CADの操作ができれば、土木図面は描ける?
CADの基本操作を習得すれば、 線を引いたり、寸法を記入したり、 図形を修正したりできるようになります。
しかし、それだけで正確な土木図面が 作成できるとは限りません。
このページで学べること
土木図面の基本となる4種類の図面について、 それぞれの役割と読み取り方を学びます。
- 平面図の見方・読み方
- 縦断図の見方・読み方
- 横断図の見方・読み方
- 構造図の見方・読み方
土木CADを初めて学ぶ方はもちろん、 建設業務に携わる方、 開発許可申請などで土木図面を扱う 行政書士の方にも役立つ内容です。
※本ページは土木図面の基礎的な読み方を 学ぶための教材です。 実際の設計・申請では、 関係法令や技術基準、 個別の図面条件などの確認が必要です。

図1 平面図

図2 縦断図

図3 横断図

図4 構造図

4種類の土木図面は、どうつながっている?
土木工事では、1枚の図面だけで道路や土地、 構造物のすべてを表すことはできません。
そこで、見る方向や目的を変えた複数の図面を 組み合わせて、形状や寸法、高さなどを表します。
まずは、代表的な4種類の図面について、 それぞれの役割を理解しましょう。
① 平面図|上から見る
道路や土地を真上から見た図面です。 道路の曲がり方、敷地の形状、境界線、 構造物の配置などを確認します。
何が、どこにあるのか?
② 縦断図|進行方向に沿って縦に見る
道路などを進行方向に沿って縦に切った図面です。 地盤の高さ、計画する高さ、 道路の勾配などを確認します。
進むにつれて、高さがどう変わるのか?
③ 横断図|進行方向に対して直角に見る
道路などを進行方向に対して直角に切った図面です。 道路幅員、横断勾配、側溝の位置、 切土・盛土の形状などを確認します。
その場所の幅や断面形状はどうなっているのか?
④ 構造図|構造物を詳しく見る
側溝、集水桝、擁壁などの構造物について、 形状や寸法、材料などを詳しく示した図面です。
どのような形や寸法で造るのか?
図5 平面図・縦断図・横断図・構造図の関係

4種類の図面を組み合わせて読んでみよう
例えば、新しい道路を造る場合を考えてみましょう。
道路がどこを通り、どのように曲がるのか、 周囲の土地や構造物との位置関係を確認します。
道路の進行方向に沿って、 地面の高さや計画する道路の高さが どのように変化するかを確認します。
各測点などの位置で、 道路の幅や左右の勾配、 切土・盛土の形状を確認します。
側溝や擁壁などの構造物について、 必要な形状、寸法、材料などを確認します。
このように複数の図面を見比べることで、 道路や土地の形状を立体的に イメージしやすくなります。
なお、実際の図面確認では、 目的に応じて図面を行き来しながら、 位置、高さ、寸法などの整合性を確認します。
平面図は「位置と形状」、 縦断図は「進行方向の高さ」、 横断図は「各地点の断面」、 構造図は「構造物の詳細」を表します。
4種類の図面を関連づけて理解することが、 土木図面を読み取る第一歩です。
第1章 平面図の見方・読み方
1-1 平面図とは?
平面図とは、道路や土地などを 真上から見た状態で表した図面です。
道路の形状や位置、土地の境界、 建物や構造物の配置などを確認するために 使用します。
平面図は「どこに、何があるのか」を 確認するための図面です。
道路や敷地全体の位置関係を理解するために、 まず平面図を確認することが基本となります。
1-2 平面図で確認する5つのポイント
初めて平面図を見ると、たくさんの線や数字、 記号が描かれていて複雑に感じるかもしれません。
まずは、次の5つに注目してみましょう。
-
道路や土地の形状
道路がどこを通っているか、 土地がどのような形になっているか。 -
境界線
道路と敷地、隣接する土地などの 境界がどこにあるか。 -
測点・測点番号
道路上のどの位置を示しているか。 -
寸法・道路幅員
道路や敷地の幅、各部分の長さが どのくらいあるか。 -
構造物の位置
側溝、集水桝、擁壁などが どこに配置されているか。
これらを一つずつ確認することで、 平面図に描かれた情報を 整理して読み取れるようになります。
図6 道路・土地の平面図

1-3 境界線の見方
平面図には、道路と土地の境界、 隣接する土地との境界などが描かれています。
道路境界線
道路と、その外側にある土地などとの 境界を示す線です。
隣地境界線
対象となる土地と、 隣接する土地との境界を示す線です。
図面上の線だけで境界の種類や 法的な位置が確定できるとは限りません。 凡例や注記、測量成果、 境界確認資料なども確認することが大切です。
1-4 測点・測点番号の見方
道路の平面図では、位置を管理するために 測点が設けられます。
測点とは、道路の中心線などに沿って 設定された基準となる位置のことです。
NO.0 → NO.1 → NO.2 → NO.3
例えば、測点間隔が20mの場合、 NO.0からNO.1までは20m、 NO.0からNO.2までは40mとなります。
ただし、測点間隔は図面や設計条件によって 異なります。10m間隔などの場合もあります。
測点番号を理解すると、 縦断図や横断図と同じ位置を 対応させやすくなります。
1-5 寸法・道路幅員の見方
平面図には、道路や土地の幅、 構造物の長さ、各部分の距離などが 寸法として記載されています。
道路幅員とは?
道路の幅を示す寸法です。 ただし、道路全体の幅なのか、 車道部分の幅なのかなど、 どの範囲を示しているか確認が必要です。
道路幅員 6.0m と記載されていれば、 指定された範囲の幅が6.0mであることを 示しています。
また、図面に「6000」と記載されている場合、 単位がmmであれば6.0mとなります。
図面によって使用する単位が異なるため、 必ず図面の単位や注記を確認しましょう。
平面図を読むときは、 縮尺だけで判断せず、 記載された寸法値を優先して確認します。 寸法値がない箇所も、画面上の長さだけで 正確な距離を決めつけないようにしましょう。
図7 境界線・測点・道路幅員の読み取り

1-6 構造物の位置を読み取ろう
道路や造成地の平面図には、 側溝や集水桝、擁壁などの構造物も 描かれています。
構造物の位置を読み取ることで、 雨水の排水や、土地の高低差への対応などを 理解する手がかりになります。
道路や敷地に降った雨水などを 集めて流すための排水施設です。
雨水などを集めたり、 排水経路を接続したりするための設備です。
土地の高低差がある場所などで、 背後の土を支えるための構造物です。
平面図では、主にこれらの構造物が どこに配置されているかを確認します。
具体的な断面形状や寸法、材料などは、 構造図や詳細図を確認します。
1-7 平面図と縦断図・横断図の関係
平面図で道路の位置や測点を確認したら、 次に縦断図や横断図を見てみましょう。
平面図だけではわかりにくい高さや 断面形状も、ほかの図面と照らし合わせることで、 立体的に理解しやすくなります。
1-8 平面図のまとめ
① 道路や土地の形状を確認する。
② 境界線の位置と種類を確認する。
③ 測点と測点番号を確認する。
④ 道路幅員や寸法を確認する。
⑤ 側溝や集水桝などの配置を確認する。
平面図は、土木図面全体を理解するための 重要な入口となる図面です。
次の章では、縦断図に描かれている 地盤高、計画高、勾配、測点などの 見方・読み方を詳しく解説します。
図8 側溝・集水桝などの配置例

第2章 縦断図の見方・読み方
2-1 縦断図とは?
縦断図とは、道路や水路などを その延長方向に沿って縦に切った状態で 表した図面です。
道路の縦断図では、地面の高さが どのように変化しているか、 計画する道路の高さや勾配が どのようになっているかを確認できます。
縦断図は「進むにつれて、高さが どのように変化するのか」を 読み取るための図面です。
2-2 平面図と縦断図の違い
平面図は、道路を真上から見た図面です。 道路の位置や曲がり方、周辺の土地との 関係などを確認します。
一方、縦断図は道路の延長方向に沿った 高さの変化を表します。
例えば、平面図だけでは、 道路が上り坂なのか下り坂なのかを 十分に読み取れないことがあります。
そこで縦断図を確認すると、 各測点の高さや勾配がわかり、 道路の起伏を理解しやすくなります。
2-3 縦断図で確認する5つのポイント
- 測点と距離
- 地盤高と計画高
- 地盤線と計画線
- 縦断勾配
- 縦断図の帯に記載された情報
最初からすべての数字を 理解する必要はありません。
まずは、横方向が道路に沿った距離、 縦方向が高さを表していることを 理解しましょう。
なお、縦断図では高さの変化を わかりやすくするため、 縦方向と横方向で異なる縮尺を 使用することがあります。
図9 道路縦断図の全体

2-4 縦断図の「帯」とは?
縦断図の下部には、測点や距離、 高さなどの情報を整理した 表が描かれています。
この表の部分を一般に「帯」と呼びます。
帯には、測点番号、単距離、追加距離、 地盤高、計画高などが記載されます。
縦断図は、上部の地盤線や計画線だけでなく、 下部の帯に記載された数値と 対応させて読むことが重要です。
2-5 測点番号の読み方
測点番号は、道路上の位置を 示すために使用されます。
NO.0 → NO.1 → NO.2 → NO.3
測点間隔が20mの場合、 NO.1は起点から20m、 NO.2は起点から40mの位置を示します。
測点間隔は必ず20mとは限りません。 10m間隔や、途中に追加された測点なども あります。
2-6 単距離と追加距離の違い
単距離とは?
単距離とは、隣り合う測点間の距離です。
例えば、NO.0からNO.1までが20mであれば、 その区間の単距離は20mとなります。
追加距離とは?
追加距離とは、起点からその測点までの 累計距離です。
NO.0:追加距離 0m
NO.1:追加距離 20m
NO.2:追加距離 40m
NO.3:追加距離 60m
2-7 単距離10mと20mの使い分け
道路の縦断図では、測点間隔が 10mや20mとなっている例があります。
一般に、20m間隔では比較的広い範囲を 整理しやすく、10m間隔では より細かい位置の情報を確認できます。
ただし、道路の規模や地形、 測量・設計の目的、適用する基準などによって 測点の設定は異なります。
10mと20mは、好きな方を 自由に選べばよいというものではありません。 既存図面を読むときは、 まず単距離と追加距離を確認し、 各測点がどの位置にあるかを理解しましょう。

図10 縦断図の帯と測点の読み方

2-8 地盤線と計画線の違い
縦断図には、主に地盤線と計画線という 2種類の線が描かれています。
地盤線
測量などによって求めた、 現在の地面の高さを 延長方向に沿って表した線です。
地面が高くなったり低くなったりする 様子を確認できます。
計画線
道路などを整備するときに、 どのような高さに仕上げるかを 表した線です。
計画する高さや勾配の変化を 確認することができます。
2-9 地盤高と計画高の読み方
地盤高とは、各測点などにおける 現在の地面の高さです。
計画高とは、各測点などにおける 計画された高さです。
ある測点の地盤高:12.50m
同じ測点の計画高:13.00m
この場合、計画高は地盤高より 0.50m高いことになります。
2-10 切土と盛土の関係
地盤高と計画高を比較すると、 地面を削るのか、土を盛るのかを 考える手がかりになります。
地面を削って、計画する高さや 形状に整えることです。
土を盛って、計画する高さや 形状に整えることです。
一般的には、同じ位置で 計画高が地盤高より高い場合は盛土側、 低い場合は切土側と考えられます。
※実際の切土・盛土の範囲や数量は、 道路幅員、横断形状、地盤状況なども 関係するため、横断図などと 照らし合わせて確認します。
2-11 DL(基準高)とは?
縦断図には、DLという記号が 記載されていることがあります。
DLは、図面上で高さを表すための 基準となる水平線です。
例えば「DL=10.00m」と記載されていれば、 その線を高さ10.00mとして、 地盤線や計画線の位置を表しています。
DLが示す高さは、図面の条件に応じて 設定されます。
※DLは高さの作図基準線です。 標高の基準やベンチマーク(BM)とは 役割が異なるため、混同しないようにしましょう。

図11 地盤線と計画線の関係


2-12 縦断勾配とは?
縦断勾配とは、道路などの 延長方向に沿った高さの変化を 表すものです。
通常、道路の縦断勾配は パーセント(%)で表されます。
水平距離100mに対して、 高さが2m変化する勾配です。
同じ勾配なら、水平距離20mでは 高さが0.40m変化します。
2-13 勾配から高さの変化を求める
勾配がわかれば、距離に対して 高さがどれだけ変化するのかを 計算できます。
高さの変化量(m)= 水平距離(m)× 勾配(%)÷ 100
水平距離:20m
縦断勾配:2%
20 × 2 ÷ 100 = 0.40m
したがって、高さの変化量は 0.40mとなります。
上り勾配なら高さが増加し、 下り勾配なら高さが減少します。
図面に記載された勾配の向きや、 起点・終点の計画高を確認しましょう。
2-14 縦断曲線にも注目しよう
道路の縦断勾配が変わる位置では、 勾配の変化を滑らかにつなぐために 縦断曲線が設けられることがあります。
縦断曲線の区間では、 計画線が単純な一直線ではなくなるため、 各測点の計画高や曲線に関する 記載を確認します。
※縦断曲線の詳細な設計計算は、 この基礎解説では扱いません。
2-15 縦断図を読むときの注意点
縦断図では、横方向と縦方向の 縮尺が異なる場合があります。
例えば、横方向が1/500、 縦方向が1/100なら、 高さの変化が実際よりも 強調されて見えます。
図面の見た目だけで 道路の勾配を判断せず、 帯の高さや勾配の数値を 確認することが大切です。
2-16 縦断図のまとめ
- 測点番号を確認する。
- 単距離と追加距離を確認する。
- 帯の地盤高と計画高を確認する。
- 地盤線と計画線の位置を比較する。
- 縦断勾配と高さの変化を確認する。
- 必要に応じて平面図や横断図と照合する。
縦断図は、道路などの高さや 勾配を理解するための重要な図面です。
次の章では、道路を横方向に切った 「横断図」の見方・読み方を学びます。
