開発許可・造成・測量で扱う土木図面から、3D・日照日影・BIMまで
目次
開発許可・造成・測量など、行政書士が扱う「土木図面」とCAD
行政書士すべてにCADが必要なわけではありません。
しかし、図面を扱う許認可業務では、CADを「読める・修正できる」ことが大きな強みになります。
開発許可や造成、測量、太陽光設備などの許認可業務では、平面図・縦断図・横断図・測量図など、さまざまな土木図面を扱います。
太陽光パネル配置図

敷地境界や周辺状況を確認しながら、設備の配置・離隔・寸法などをCAD上で整理した例です。
土地利用変更に伴う平面図・断面図の例

花畑として利用していた土地を、砕石置場・山砂置場として利用するため、現況や土地利用区分、面積、進入路、断面などを図面化した例
開発許可申請では、平面図だけでなく、土地の高低差や造成計画を示す縦断図・横断図を扱う場合があります。
開発許可申請の土地の横断図の例

では、Jw_cadで十分なのでしょうか? AutoCADやBricsCAD、IJCADとの違いは? 3DやSketchUp、BIMは必要なのでしょうか?
このページでは、「CADで土木図面を扱いたい行政書士の方」に向けて、目的に合ったCADの選び方から、3D・日照日影・BIMまで分かりやすく解説します。
行政書士の仕事によって、
CADの必要性は違います
| 行政書士の業務 | CAD必要度 | CADを使う場面 |
|---|---|---|
| 建設業許可・経審 | ★★☆☆☆ | 図面確認、建設会社との資料共有など |
| 農地転用 | ★★★★☆ | 位置図・配置図・土地利用関係図など |
| 開発許可・土地利用 | ★★★★★ | 土地利用・造成・道路・排水・縦横断図など |
| 測量・境界関連 | ★★★★★ | 測量座標・境界点・現況図・DXF/DWGなど |
特にCADの必要性が高くなるのが、農地転用・開発許可・土地利用など、土地の形状や利用方法を図面で説明する業務です。
開発許可では、単に図面を「描く」だけではなく、平面図・縦断図・横断図・造成計画図・排水計画図などを読んで理解する力も重要になります。
Jw_cadとAutoCADは、何が違うの?
これはCADを使っている方からも、よく出てくる疑問です。
Jw_cadを使って図面を描けるようになっても、
「AutoCADとは何が違うの?」
「自分の仕事には、どちらが向いているの?」
ということは、意外と分かりにくいものです。
CADの操作を覚えることと、自分の仕事に適したCADを選ぶことは別の知識だからです。
Jw_cad
Jw_cadは、日本で広く利用されている2次元CADです。
特に建築分野を中心に利用されており、無料で使用できることも大きな特徴です。
行政書士業務でも、
・平面図
・配置図
・土地利用関係図
・簡単な造成図
・測量図
・既存図面の修正
など、2次元図面を作成・修正する用途では十分活用できます。
すでにJw_cadを使用している取引先や事務所とのやり取りが多い場合にも便利です。
【初心者向け】Jw_cad 基本設定の説明
では、なぜ AutoCADを使うの?
AutoCADもJw_cadと同じように、線、円、文字、寸法などを使って2次元図面を作成できます。
大きな違いの一つが、DWGを中心としたCADデータのやり取りや、より幅広い業務への展開です。
建設会社、設計会社、測量・土木関連企業などから受け取ったDWGデータを扱う場合、AutoCAD系CADを使用できることが大きなメリットになることがあります。
また、製品や構成によっては、
2D → 3D → 点群 → 測量・土木 → BIM
と、さらに高度な業務へ発展させることもできます。
【初心者向け】AutoCAD 2025 基本操作編 |ファイル操作と画面構成
ゼロからわかる土木製図入門|測量座標・画層・平面図・横断図・縦横断図の違い
AutoCADだけではない「AutoCAD互換CAD」という選択肢
DWG形式の図面を扱いたい場合、AutoCADだけが選択肢ではありません。
AutoCADと高い互換性を持つCADとして、BricsCADやIJCADなどがあります。
操作画面やコマンド体系にもAutoCADとの共通点が多いため、AutoCADの操作を学んだ経験を生かしやすいことも特徴です。
・ BricsCAD
BricsCADもDWGを中心に扱うAutoCAD互換CADです。
2D作図だけでなく、グレードによって3D、点群、土木関連機能などへ発展できることが特徴です。
また、BricsCADには現在も永久ライセンス(買い切り)とサブスクリプションの選択肢があります。
そのため、「2D図面だけでなく、将来は測量・点群・3Dまで使いたい」という方にも検討しやすいCADです
【初心者向け】BricsCADで座標入力をマスターしよう!
・ IJCAD
IJCADは、AutoCADとの高い互換性を特徴とする国産CADです。
画面構成や操作感もAutoCADに近く、DWG図面を扱いながら、導入コストを抑えたい場合の選択肢になります。
また、建設・土木向けのIJCAD Civilも用意されています。
現在のIJCADはサブスクリプション方式となっており、新規の永久ライセンス(買い切り版)は販売されていません。
「どのCADが一番いい?」ではなく
「何をしたい?」から考える
CAD選びで重要なのは、どのCADが一番高機能なのか?ではありません。
大切なのは、自分の仕事で何をしたいのか?です。

主な5種類のCADの比較表
| CAD | 特徴 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| Jw_cad | 無料・2D中心 | 2D・申請図面、平面図、配置図など |
| AutoCAD | DWGの本家・幅広い業界で利用 | 他社とのDWG連携、汎用CAD、3D |
| IJCAD | AutoCADに近い操作感・国産互換CAD | 2D・DWG中心、コストを抑えたい |
| BricsCAD | DWG互換+3D・点群等へ発展 | 測量・土木・点群・3Dまで視野に |
| SketchUp | 直感的に3Dモデルを作成しやすい Pro版とWeb版あり、無償版もある | 土地、建物、造成、太陽光設備などを立体的に確認・説明資料 |
※無料体験期間:BricsCAD、IJCAD(30日間)、AutoCAD(15日間)
● 2Dの申請図面を作成・修正したい
・ Jw_cad
平面図、配置図、土地利用図など、2D図面(Jw_cad等)を中心に扱う場合。3Dや点群データは扱えない。
● DWG/DXFを扱いたい
・AutoCAD・BricsCAD・IJCAD
建設会社、設計会社、測量会社などとのDWG/DXFデータ連携も考える場合。
● 測量・点群・3Dまで発展させたい
・ AutoCAD系・BricsCADなど
今後、より高度な土木・測量データ・点群データを扱いたい場合。
● 敷地や建物を3Dで分かりやすく見せたい
・ SketchUp
土地、建物、造成、太陽光設備などを立体的に確認・説明したい場合。
SketchUpは許認可業務にも活用できる?
SketchUpは、比較的直感的に3Dモデルを作成できるソフトです。
・直感的に使える3D CAD
・Google Earth等の位置情報・地形データを活用
・実際の敷地をイメージして建物・太陽光設備を配置
・日時を設定して日照・日影を3Dで確認
・造成・建物・太陽光設備の検討・説明に便利
たとえば、
・敷地の高低差
・建物の配置
・擁壁
・造成後の土地
・太陽光パネル
・周辺建物との位置関係
などを3Dで表現すると、2次元図面だけでは分かりにくい計画を視覚的に確認できます。
Google Earthなどで現地を確認し、位置情報・地形を活用してSketchUp上に3Dモデルを作成することも可能です。

【初心者向け】無料で使える SketchUP Web版 入門編(ライブ)
日照・日影も3Dで確認できます
SketchUpには、モデルの位置情報を設定し、日時を指定して太陽による影を表示する機能があります。
緯度・経度、方位、タイムゾーンなどをもとに、指定した日時の影を視覚的に確認できます。
たとえば、
夏至と冬至で影がどう変わるのか?
午前と午後ではどう違うのか?
太陽光設備の周囲にどのような影ができるのか?
といったことを3Dで確認できます。
3Dなら、図面だけでは分かりにくい「高さ・配置・日影」も視覚的に確認できます。
SketchUPの日照の動画です。左下の▶ボタンをクリックすると再生します。
このように季節(時期)や時間を変えながら日照・日影をリアルタイムで視覚的に確認できます。
※許認可申請で正式な日影図や計算書等が必要となる場合は、申請先が定める作成方法・精度・提出要件を確認する必要があります。
これから開発許可を
専門分野にしたい行政書士の方へ
開発許可・造成では、図面を『読める』ことも重要です
開発許可の業務では、都市計画法などの法令知識だけでなく、土地利用・造成・道路・排水・測量など、さまざまな図面を扱います。
行政書士自身がすべての測量や設計を行う必要はありません。しかし、測量会社・土木設計会社・建設会社などから受け取った図面を読み、必要な情報を確認し、修正内容を伝えられることは大きな強みになります。
「法律が分かる+図面が読める+CADデータを扱える」
開発許可をこれから専門分野として広げたい方にとって、CADは単なる作図ソフトではなく、専門家との連携を支える実務ツールになります。
CADの操作ができても、図面の意味が分からなければ実務では困ります。
たとえば道路横断図を見たときに、
どこが道路なのか?
どこに側溝があるのか?
勾配はどこを見るのか?
土地利用計画図

土地利用計画では、敷地の形状だけでなく、資材置場・駐車場・作業スペースなどの用途区分、寸法、面積、道路や側溝との位置関係などを図面上で整理することがあります。
縦断図

敷地・配置図

各階平面図・求積表・建物図面

実際の土木図面を使って、図面の読み方から学習します。
※画面はAutoCADによる作図例です。
※掲載図面は、過去に作成した図面をもとに、所在地・地番等が特定されないよう編集しています。
CAD操作だけではありません
平面図・縦断図・横断図など、実際の土木図面を見ながら「読み方」と「描き方」を学びます。
造成計画図なら、
現況高と計画高はどれか?
切土と盛土はどこか?
擁壁はなぜ必要なのか?
といった「図面の見方」も必要です。
CDIキャリアスクールでは、CADのコマンド操作だけでなく、実際に扱う図面を見ながら、図面の読み方と作図を一緒に学習することができます。
土木図面の基本となる3つの図面、平面図・縦断図・横断図の見方を学ぶ

許認可業務のための
CADスキル・ロードマップ
STEP 1 図面を読む
平面図・縦断図・横断図
↓
STEP 2 2D図面を作成・修正
Jw_cad
↓
STEP 3 測量座標を扱う
座標・境界点・現況図
↓
STEP 4 建設・測量会社とCADデータを連携
DXF・DWG
↓
STEP 5 より高度な土木・測量データへ
AutoCAD・BricsCAD等
↓
STEP 6 将来は
点群・3D・AI
最初からすべて覚える必要はありません。
農地転用などの2D申請図面であれば、まずJw_cadから始める方法もあります。将来、開発許可・測量座標・DWG/DXF・点群まで業務を広げたい場合は、AutoCADやBricsCADなどへ段階的に進むこともできます。
盛土規制法など、許認可を取り巻く環境も変化しています
2023年5月26日から、宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる「盛土規制法」が施行されています。
たとえば沖縄県では、2026年10月1日から規制区域を指定し、盛土規制法の運用を開始する予定としています。
盛土・造成など土地の形状変更を伴う業務では、図面を読み、関係者と図面を使って情報を共有する機会が今後さらに重要になることが考えられます。
※許可・届出の要否は、区域、盛土・切土の高さ、面積など複数の条件によって異なります。個別案件については所管行政庁の最新基準をご確認ください。
さらに、その先にはBIMがあります
建築分野では、CADからさらに一歩進んだBIM(Building Information Modeling)の活用が進んでいます。
BIMは単なる3Dモデルではありません。
建物の形状だけでなく、部材や仕様などの情報を持たせ、設計・施工・維持管理などに活用していく仕組みです。
国土交通省では、建築確認について、
2026年春からBIM図面審査
さらに、
2029年春からBIMデータ審査
を開始するロードマップを示しています。
つまり、建築確認や許認可に関わる方にとっても、「BIMは設計事務所だけのもの」とは言い切れない時代になりつつあります。
※「2029年からすべての建築確認申請でBIMが義務化される」という意味ではありません。
【実践講座】ArchiCAD 木造2階建住宅 マンツーマンで学べる!
2D CADから3D・BIMへ
これからの許認可業務では、すべての人が最初から高度な3D CADやBIMを使う必要はありません。
まずは、Jw_cadで2D図面を扱う
そこから必要に応じて、AutoCAD・BricsCADでDWG/DXF、測量、点群、3Dへ
さらに、SketchUpで分かりやすく3D化
そして将来的には、BIMも理解する
という段階的な学習方法があります。
大切なのは、最初からすべてを覚えることではありません。
自分の業務に必要なところから始めることです。
【初心者向け】AutoCAD 3D | 2D図面から簡単に3Dモデリングへ
講師の実務経験

行政書士業務に関わる図面作成を約10年間サポート
CDIキャリアスクールでは、地元の行政書士の許認可業務に関わる図面作成を約10年間お手伝いしてきました。
その経験も活かし、単なるCADコマンドの操作だけではなく、実際の土木図面を使って「図面の読み方」「修正方法」「測量座標」「DWG/DXF」などを学習します。
CADを学んだ後の「最初の実案件」もご相談ください
CADの基本操作を覚えても、実際の案件では「測量会社から届いたDWGをどう扱う?」「役所から図面修正を求められた」「座標データをどう入力する?」など、新しい疑問が出てきます。
CDIキャリアスクールでは、講座修了後のCAD操作・図面作成についてもご相談いただけます。
※法令判断や申請内容そのものではなく、CAD操作・図面技術に関する支援です。
数字で見るCDIキャリアスクールのCAD企業研修実績
【2026年3月~6月の企業研修実績を掲載】
🟢 企業研修実績(2025/1~):25社以上
🟢 講師歴:13年以上(2013/2~)
📖 教材出版実績:66冊以上
(Amazon電子書籍・紙の書籍・技術評論社商業出版を含む)
📖 技術評論社出版『これからはじめるAutoCADの本』はこちら(技術評論社サイトへ)

CDIキャリアスクールの阿部恵一が出版した書籍です(amazon)

どのCADを選べばよいか分からなくても大丈夫です
作成したい図面や現在の業務をお聞きしながら、Jw_cad・AutoCAD・BricsCAD・IJCAD・SketchUpなどから学習方法をご提案します。
CDIキャリアスクールでは、最初に、
どんな仕事をしているのか?
どんな図面を扱いたいのか?
現在どの程度CADを使えるのか?
将来どこまでやりたいのか?
を確認します。
そのうえで、Jw_cad、AutoCAD、BricsCAD、SketchUpなどから、目的に合わせて学習内容を組み立てます。
開発許可・土地利用の図面を学びたい方
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